ソムリエとワインエキスパートの違いは受験資格と実技|合格率の差と選び方を整理【2026年版】
この記事の結論
- 2025年の最終合格率はワインエキスパート26.4%、ソムリエ19.9%です
- ソムリエは飲食・酒類業界の実務経験者向け、ワインエキスパートは20歳以上なら誰でも受験できる資格です
- 一次試験の公式教本と出題範囲は共通しており、求められる知識の水準に大きな差はありません
- 二次試験はワインエキスパートがテイスティングのみ、ソムリエはテイスティングと論述が課されます
- ソムリエのみ三次試験(サービス実技)が実施されます
- 飲食業などの実務経験がない方は、ワインエキスパートの受験を選択します
最新の2025年試験実績では、ワインエキスパートの合格率は26.4%(受験者3,577名・合格者944名)、ソムリエは19.9%(受験者2,866名・合格者570名)でした(JSA公式資料より)。なお2026年試験は未完了のため確定値はありません。本記事では実績数値と受験資格の違いを整理し、比較の注意点を解説します。
ソムリエとワインエキスパートの違い【比較表】
一般社団法人日本ソムリエ協会(J.S.A.)が実施する両試験の主な違いは以下のとおりです。
| 項目 | ソムリエ | ワインエキスパート |
|---|---|---|
| 認定団体 | 一般社団法人日本ソムリエ協会(J.S.A.) | 一般社団法人日本ソムリエ協会(J.S.A.) |
| 受験資格 | 対象職務通算3年以上(会員条件を満たす場合は2年以上)。収入・月間従事時間の条件あり | 2026年8月31日時点で満20歳以上(職歴不問) |
| 一次試験 | CBT方式(約120問・70分) | CBT方式(約120問・70分) |
| 二次試験 | テイスティング+論述試験 | テイスティングのみ |
| 三次試験 | サービス実技(約7分) | なし |
| 受験料(一般・1回) | 32,900円 | 32,900円 |
| 受験料(会員・1回) | 23,700円 | 23,700円 |
| 認定登録料 | 20,950円 | 20,950円 |
| 認定バッジ | ぶどう型バッジ(金色) | ぶどう型バッジ(金色) |
| 主な受験者層 | レストラン・ホテル・酒販店・インポーター等の従事者 | ワイン愛好家・食品酒類業界従事者・一般社会人 |
※受験料は一次試験を1回受験する場合の金額です。一次試験を2回受験する場合(一般37,800円、会員28,600円)の区分も用意されています。合格後の資格認定には、別途認定登録料20,950円の納付が必要です。一次試験を一般1回で受験して合格・登録した場合の合計費用は53,850円となります(交通費や個別の教材費等は含みません)。
表からわかるように、試験の入り口である「受験資格」と、試験の出口である「論述・実技の有無」に明確な違いがあります。
受験資格の違い: 飲食・酒類の実務経験が必要かどうか
受験資格の有無は、どちらを受験するかを決める最大の分岐点です。
ソムリエの受験資格
基準日(2026年8月31日)時点で以下の条件を満たす必要があります。満20歳以上で、同じ認定資格を保有していないことも条件です。飲食店勤務に限らず、酒類飲料の製造・販売・管理・輸入・流通・講師・コンサルタントなどの対象職務も含まれます。
- 対象職務が主たる職業であり、その職務から得る収入が全体の60%以上を経常的に占めていること
- 月90時間以上の従事であること
- 一般受験者は通算3年以上、基準日時点で会員歴2年以上のJSA正会員または賛助会員在籍者は通算2年以上の従事経験があること
- 基準日時点においても該当職務に従事していること 詳細はJSAソムリエ受験案内をご確認ください。
ワインエキスパートの受験資格
ワインエキスパートには職歴や従事期間の要件がありません。
- 試験基準日(2026年8月31日)時点で満20歳以上であること
- ソムリエ協会認定のワインエキスパート資格を未保有であること 愛好家や酒類業務の従事年数が満たない方でも受験可能です。詳細はJSAワインエキスパート受験案内をご確認ください。
筆者の実感: 私はIT業界で働いており、飲食業の経験はありません。ワインが好きで知識を深めたいと思い、ワインエキスパートを受験しました。飲食業に就いていない方でも、「ワインについて本気で学びたい」という気持ちがあれば、ワインエキスパートは最適な選択肢です。
試験内容の違い: 論述とサービス実技の有無
一次試験から三次試験までの構成を比較すると、求められるスキルの種類が分かります。
【ソムリエ】
一次試験(CBT筆記) ──> 二次試験日(テイスティング+論述) ──> 三次試験(サービス実技)
【ワインエキスパート】
一次試験(CBT筆記) ──> 二次試験(テイスティングのみ) ──> 合格
一次試験: CBT方式による筆記(共通)
一次試験は、ソムリエ・ワインエキスパートともにコンピューターで解答するCBT(Computer Based Testing)方式で実施されます。
- 試験形式: CBT方式(4者択一式)
- 問題数: 約120問
- 試験時間: 70分
- 出題範囲: J.S.A.発行の公式教本全編
出題範囲は、フランス、イタリア、スペイン、ドイツ、アメリカなどの主要生産国から、東欧、南米、オセアニア、アジア、そして日本ワインに至るまで、世界各地のワイン産地、法規制、気候風土、主要ブドウ品種が網羅されます。さらに、ワインの醸造・栽培技術、テイスティング理論、酒類概論(日本酒、焼酎、ビール、ウイスキー、スピリッツ、リキュールなど)、公衆衛生や料理とのペアリング理論まで幅広く問われます。
CBT方式の特性上、受験者ごとに異なる問題がランダムに出題されます。過去問の丸暗記だけでは対応が難しく、公式教本の記載内容に基づいた網羅的な知識の整理が求められます。試験問題自体は非公開です。
一次試験は、一定の期間内にテストセンターを予約して受験する形式です。出願時に「1回受験」または「2回受験」を選択でき、2回受験を選んだ場合は期間内に2回まで受験機会が得られます(1回目で合格した場合、2回目の受験は不要で、どちらか一方で合格基準に達すれば通過となります)。
二次試験日: テイスティングと論述
一次試験を通過すると、二次試験に進みます。ここで両資格の試験科目に差が生じます。
- ワインエキスパート: テイスティングのみ(ワイン数種類およびその他酒類)
- ソムリエ: テイスティング(ワイン数種類およびその他酒類)+ 論述試験
テイスティング試験では、ブラインドで供出された酒類の外観・香り・味わいをJ.S.A.指定のテイスティング用語選択シートにマークし、ブドウ品種、生産国、収穫年(ヴィンテージ)などを推察します。出題される飲料はスティルワイン(赤・白)が中心ですが、酒精強化ワインや蒸留酒などの「ワイン以外の酒類」も含まれます。
ソムリエのみに課される論述試験は、提示されたテーマに対して指定文字数(短文記述形式)で的確な説明を行うものです。ワインの基礎知識だけでなく、レストラン現場を想定したお客様への説明や提案、料理との相性、近年のトレンドに関する理解が問われます。なお、論述試験の採点は二次試験段階ではなく、三次試験の合否判定時に合わせて審査される運用となっています。
三次試験: サービス実技(ソムリエのみ)
ワインエキスパートには三次試験がありません。二次試験に合格した時点で最終合格となり、認定手続きへ進むことができます。
ソムリエは、二次試験通過後に三次試験を受験します。
- 試験科目: サービス実技審査
- 所要時間: 1名あたり約7分
- 内容: パントリ準備、ワインの抜栓、デカンタージュ、グラスへの注ぎ分け、審査員への適切な応対
三次試験では、安全かつ清潔にワインを扱えるか、ソムリエナイフやリトー(トーション)の扱いが滑らかか、澱(おり)を確認しながらデカンタへ移せているか、所定の時間内にすべての手順を完了できるかといった実技能力が評価されます。技術の正確さに加え、身だしなみや立ち居振る舞いなどの接客マナーも審査の対象です。
飲食の現場で普段から抜栓を行っている方であっても、協会の標準手順に沿った動作を身につけるための反復練習が必要です。
一次試験免除制度の条件
一次試験に合格し、二次試験または三次試験で不合格となった場合、翌年以降の試験で一次試験が免除される制度があります。
免除が認められる期間は**「一次試験を通過した翌5年間のうち3回まで」**です。通過した年そのものはカウントに含まれず、翌年からの5年という枠の中で最大3回まで一次試験免除者として出願できます。一度不合格になっても、翌年以降は実技やテイスティングの対策に専念して再挑戦できる仕組みが整えられています。
難易度と合格率の比較
両資格の合格率の推移を確認します。
過去5年間の合格率推移
一般社団法人日本ソムリエ協会が公表している認定試験結果に基づく、過去5年間の最終合格率は以下のとおりです。
| 年度 | ソムリエ合格率 | ワインエキスパート合格率 |
|---|---|---|
| 2021年度 | 42.1% | 40.7% |
| 2022年度 | 30.1% | 32.9% |
| 2023年度 | 17.7% | 41.9% |
| 2024年度 | 29.2% | 41.4% |
| 2025年度 | 19.9% | 26.4% |
| 5年の単純平均 | 27.8% | 36.7% |
出典:日本ソムリエ協会「資格認定者数・合格率」(2026年1月1日現在、2026年9月27日確認)。5年の単純平均は各年の合格率を足して5で割った値で、5年間の合格者総数を受験者総数で割った合格率とは異なります。
5年平均の数値を比べると、ワインエキスパートが36.7%であるのに対し、ソムリエは27.8%となっており、ワインエキスパートのほうが高い水準で推移しています。年度によって合格率は大きく変動しており、例えば2023年度のソムリエは17.7%、2025年度は両資格ともに前年より低い合格率となっています。
合格率を比較するときの注意
両資格は二次以降の試験科目や受験者層が異なります。引用したJSA「資格保有者一覧表」には段階別の合格率は公表されておらず、特定年度の合格率低下の要因や「どちらが学習時間を確保しやすいか」といった未検証の属性は断定できません。合格率の数値だけで安易に優劣を判断せず、まずは受験資格の有無を確認したうえで学習方針を立てましょう。具体的な学習の手順は「独学攻略ガイド」を参考にしてください。
それぞれの資格を取得するメリット
合格後に得られる評価や活用場面は、資格の性質によって異なります。
ソムリエのメリット

- 料飲サービスにおける公的な証明: ソムリエバッジの着用により、飲食店やホテルにおいてお客様からの信頼を直接得られます。
- 職場での待遇改善やキャリア形成: 資格手当の支給基準や、チーフソムリエ・料飲支配人への昇進要件として指定されているケースがあります。
- サービス実務スキルの定着: 三次試験の準備を通じて、正確な抜栓やデカンタージュ、適切な接客手順が身につきます。
- 独立・開業時の強み: 自身のレストランやワインバーを開業する際、専門性を示す分かりやすい肩書きになります。
ワインエキスパートのメリット

- 誰でも挑戦できる最高峰の愛好家資格: 飲食業界の職歴がなくても、プロと同等範囲のワイン体系知識を学んだ証となります。
- 関連業界での業務への応用: 酒類インポーター、食品卸、百貨店、通販事業などにおいて、企画や仕入れの判断基準として知識を活用できます。
- ワイン教育や情報発信への展開: ワインスクールの講師アシスタントや、ライター・ブロガーとしての情報発信において専門性の裏付けになります。
- 私生活でのワイン選びの深化: レストランのワインリストの読解や、産地・ブドウ品種の特性を踏まえた料理との組み合わせを日常的に楽しむことができます。
筆者の体験: ワインエキスパートを取得してから、レストランでのワイン選びに自信が持てるようになりました。「この料理にはこの品種が合う」と論理的に考えられるようになったのは、資格勉強を通じて体系的にワインを学んだ成果だと実感しています。
どちらを受験すべきかの判断基準
自分がどちらを受けるべきか迷った場合は、以下の基準に沿って判断します。
【質問1】 前述の対象職務・従事期間・収入割合・勤務時間の条件を満たしていますか?
├─ [いいえ] ──> ワインエキスパートを受験
└─ [はい] ───> 【質問2】へ
【質問2】 現在も対象となる実務に従事しており、サービス実技試験の対策を行う意欲がありますか?
├─ [はい] ───> ソムリエを受験
└─ [いいえ] ──> ワインエキスパートを受験(実務経験があっても受験可能です)
必要な職務経験や従事条件を満たさない場合
出願基準日時点で必要な実務経験月数に届いていない場合、ソムリエ試験には出願できません。この場合は、まずワインエキスパートを受験して一次・二次の合格を目指すのが現実的な選択肢です。
ワインエキスパートで身につけた知識とテイスティング能力は、将来実務年数を満たしてソムリエ試験に挑む際にもそのまま土台となります。
飲食業に従事しているがサービス実技を避けたい場合
実務要件を満たしている飲食業従事者であっても、ワインエキスパートを受験することは制度上可能です。「現在酒販店勤務で抜栓サービスを行う機会がない」「まずは筆記とテイスティングの合格を確実に勝ち取りたい」という理由から、あえてワインエキスパートを選ぶ受験者も存在します。
試験対策の進め方
一次試験は共通の教本で学習します。二次試験のテイスティングに加え、ソムリエでは論述と三次試験のサービス実技を準備します。
関連記事:ソムリエ試験・ワインエキスパート試験の合格率と難易度。
まとめ: 自分の立場と目的に合った資格を選ぶ
| 受験の動機・現状 | 適した資格 |
|---|---|
| 前述の職務経験・従事条件を満たし、接客実務に活かしたい | ソムリエ |
| 対象職務の経験や従事条件を満たさない | ワインエキスパート |
| 趣味や自己研鑽として、ワインの体系的な知識を身につけたい | ワインエキスパート |
| 将来的に飲食店やワインバーの開業・転職を予定している(実務経験あり) | ソムリエ |
「ソムリエのほうがワインエキスパートより優れている」という階層関係はありません。ワインに関する知識の幅広さやテイスティングの判定基準は両資格とも同等の水準が求められます。
実務経験の有無と実技試験への適性を見極め、自身の状況に合致した資格を選択して学習計画を進めていくことが合格への最短ルートです。
よくある質問
ワインエキスパートの最新の合格率は何%ですか?
2025年のワインエキスパート合格率は26.4%(合格944名/受験3,577名)です。同年のソムリエは19.9%(合格570名/受験2,866名)でした。なお2026年試験は実施中のため年間確定値は出ていません。
ワインエキスパートとソムリエはどちらが難しいですか?
最終合格率の差だけで難易度は断定できません。CBT方式の一次試験は教本や出題範囲が共通ですが、ワインエキスパートは二次(テイスティング)まで、ソムリエは三次(サービス実技等)まで試験科目があるなど構成が異なります。
飲食業で働いていなくてもソムリエ試験は受けられますか?
飲食業以外でも、酒類飲料の製造・販売・輸入・流通・講師・コンサルタント等の対象職務で基準を満たして従事していればソムリエを受験可能です。なお、ワインエキスパートは20歳以上であれば職歴を問われません。詳細は日本ソムリエ協会公式サイトをご確認ください。
ワインエキスパートの資格にはどんなメリットがありますか?
日本ソムリエ協会(J.S.A.)認定の資格として、ワインに関する体系的な知識を客観的に証明できます。ワインショップや食品・飲料を扱う職場での業務に活かせるほか、愛好家としてのワイン選びや料理とのペアリングの幅が広がります。
ワインエキスパートに合格した後、ソムリエに切り替えることはできますか?
資格の自動切り替え制度はありません。実務経験の条件を満たしたうえで、改めてソムリエ試験を受験する必要があります。ただし、一次試験で学んだ知識やテイスティングの基礎はそのままソムリエ試験の準備に活用できます。
参考文献・情報源
📝 更新履歴
- 2026年10月10日:記事冒頭から各項目へ直接移動できる案内を追加しました。
- 2026年9月27日:2025年合格率と公式出典を冒頭に追加。平均の定義と2026年受験資格を確認し、FAQを更新
- 2026年3月14日:2026年度試験情報に対応、初版公開
- 2026年9月17日:本文と関連情報を見直し、説明を整理
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